まず、どんな人が上手な人なのかを定義する必要があると思います。「どんな人が上手な人なのか」は人によって考えが違う、定義するのが難しい代物です。また、マスターとプレイヤーとでは立場が違うため、上手なマスターと上手なプレイヤーとは別のものであると考えられます。
ここでは「ユニットEV」さんが提唱している「TRPGのプレイスタイル傾向」に沿って考えてみます。傾向は全部で4種類(役者、作家、遊戯者、黒子)あるので、それぞれの傾向ごとに「上手」な人がいる、と考えます。どの傾向が優れた考え方だ、とかは考えず、どの考え方も同列だとすべきでしょう。
「役者」はキャラクターとしての演技に重きを置いた視点で、「役者」として「上手」な人というのは「キャラクターになりきって発言するのが上手な人」をさします。NPCを乗っ取って演技することなんかも「役者」の能力の一部でしょう。一方マスターにおいては「NPCになりきって発言するのが上手な人」と考えるといいでしょう。
「作家」は物語を作り出すことに重きを置いた視点で、「作家」として「上手」な人というのは「マスターが提示したストーリーをより面白いものに変えていくのが上手な人」をさします(ただし、マスターのストーリーを無視してしまうのはいくら面白くても良くないことなので注意)。キャラクターの背景設定を考えるのも「作家」の能力の一部でしょう。一方マスターにおいては「面白いストーリーを提示できる人」と考えるといいでしょう。
「遊戯者」はゲームとしてデータや強さに重きを置いた視点で、「遊戯者」として「上手」な人というのは「強いキャラクターを作ることや役立つ使い方をすることが上手な人」をさします。一方マスターにおいては「プレイヤー側がぎりぎり死なない程度の戦闘を設定できる人」と考えるといいでしょう(敵が強すぎるのはかえってバランスが悪い、ということです)。
「黒子」は他のプレイヤーへのサポートに重きを置いた視点で、「黒子」として「上手」な人というのは「他人の見せ場を盛り上げたり手柄を取らせたりすることが上手な人」をさします。一方マスターにおいては「プレイヤーキャラクターが等しく活躍できるようにシナリオを構築できる人」と考えるといいでしょう。
「役者」として上手になるためにはどうすればよいか。リプレイや小説、マンガなどを読んで格好いいセリフをメモしておいて、状況に合わせて使ってみるのがいいと思います。芸事には「守破離」という考え方があります。最初は師匠の教えを守ることから始めて、模倣できるようになったら師匠の教えをあえて破って自分なりの手法を模索し、最後には師匠の元を離れて自分のオリジナリティを確立するというものです。
最初は模倣でいいのですが、一通り身についてきたらオリジナリティを追求すべきです。また、どんなに有名な作品であっても、模倣した元の作品のことを知らない人がいる可能性があるので、気をつけて使ってください。逆に、元ネタが何だかわかっても言わぬが花というものです。
「作家」として上手になるためにはどうすればよいか。これも模倣が役に立ちます。しかしリプレイやマンガ、ライトノベルなどは、読んでいる人も多いため、マスターがそのまま参考にするには問題があります。
プレイヤーとしての作家能力は、マスターの提示するストーリーの大筋を壊さない範囲内でよりよいストーリーを提示することです。それにはマスターの意図を読み取る能力が欠かせません。一般的なストーリーを数多く知っていれば、マスターの意図を外してしまうことも少なくなるでしょう。
マスターとしては、最近のゲームは勧善懲悪なストーリーが多いので、同じく勧善懲悪な傾向の強い時代劇を参考にしてみるのもいいかもしれません。ファンタジーであれば言葉を変えるだけでそれらしく聞こえます。現代ものであればトレンディドラマや映画も使えると思うのですが、最近のドラマは原作がマンガであることも多いので気をつけて使うべきでしょう。
「遊戯者」として上手になるためにはどうすればよいか。これはルールブックを読み込んで色々なキャラクターを作ってみるのが一番の近道だと思います。このとき、なるべくデータ面を重視した作り方をしてみることが重要です。なお、単独で強いキャラクターではなく、パーティーとして動くことで強くなれるキャラクターを作ると、なおよいでしょう(まんべんなく強いキャラクターではなく、一点特化型のキャラクターなど)。
最近はルールやデータにこだわる遊び方は「マンチキン」と呼ばれて敬遠される傾向が強いようですが、リプレイに登場するキャラクターでさえデータ面でも考えて作られていることが多いのです。データばかりを見るのは困りものですが、データを軽視しすぎてはいけないと思います。
「黒子」として上手になるためにはどうすればよいか。人の話をよく聞いて、その人の意見に合う行動をすることが大事です。このとき、ただ相手の意見に合わせるのではなく、自分の意見をうまく盛り込みながらすり合わせをすることができればもっといいでしょう。
もし相手が何か重要なことを見過ごしているとしたら、それを指摘するのも黒子の役目です。情報収集などのシーンで何か忘れていることはないか、神経を張り巡らせる必要があります。
黒子としての訓練は普段の社会的生活の中で行うことができますが、これをゲームに適用しようとなると応用が必要になります。ゲームのルールもある程度は知っておかないと、適切な行動がとれずに迷惑をかけてしまうことがありえます。役者や作家の能力も最低限持っていなければ、相手が何をしたいのかに気づくこともできません。
僕は、4つの傾向の中で一番難しいのは黒子だと思っています。
本当に上手な人、というのは、1ヵ所だけに秀でているのではなく、バランスが取れた人だろうと思います。しかし、長所の無い人や短所の無い人というのはいないので、まずは自分の得意分野を伸ばすところから始めるといいと思います。得意分野が分からない人は、どこが得意分野なのかを知るところから始めましょう。
前のコラムへ
TRPGコラムへ戻る
次のコラムへ
メニューへ戻る
Copyright Sagara