TRPGの勝敗

 ゲームには、必ず「勝利」と「敗北」があります。TRPGにももちろんあります。ここでは「経験点」に由来する勝敗と、経験点に由来しない勝敗とを論じてみます。

 ハリウッド映画の主人公たちには、「何か不足しているもの」があります。彼らは事件を解決することを通じて不足しているものを手に入れることができます。例えば「片思いが両思いになる」だったり、「名声を得る」だったり、「大切な人を取り戻す」だったり、「巨万の富を得る」だったり。
 シナリオを通じて大切な人の命を救うことができたり、高価なアイテムを手に入れたりすることで「何か不足しているものを手に入れる」ことがあります。シナリオごとにプレイヤーに与えられた目的を達成できれば「勝利」したと言っていいでしょう。
 プレイヤーがシナリオの目的を達成できたらマスターにとっても「勝利」であると考えてもいいと思います。目的が達成できたということは、マスターが想像したとおりのストーリーが展開できたということになるからです。大昔のTRPGではシミュレーションゲーム的要素が強く、マスターとプレイヤーとが知恵比べをして生き残ればプレイヤーの勝ち、全滅すればマスターの勝ち、という考え方もあったようですが、今ではそういう考えは無くなっています。

 TRPGでは、ゲーム終了後に「主人公」たちが「成長」して新しい能力を身に着けたり、能力を向上させたりすることができます。この「成長」は、映画の主人公たちが「不足しているものを手に入れる」ことに近い意味があります。
 たいていのTRPGでは、「成長」するためには「経験点」が必要になります。なので、「経験点をたくさん得られるように行動する」のがTRPGの一般的な遊び方だと考えてもいいかもしれません。つまり経験点をたくさん得られれば「勝利」したと言っていいということです。プレイヤーに経験点が与えられるシステムの場合、プレイヤーキャラクターの生死と勝敗に因果関係はありません。キャラクターに経験点が与えられるゲームの場合は、キャラクターが死んだら経験点がもらえないので「敗北」したことになります。
 マスターにも経験点が与えられるゲームであれば、マスターにとっての「勝利」も経験点をたくさん得ることになるでしょう。マスターが得られる経験点は、たいていのゲームではプレイヤーが得た経験点がそのままマスターの経験点に反映されるので、「プレイヤーにたくさんの経験点を与えることができれば勝利」だと考えていいでしょう。
 例えば、世界最古のTRPG「D&D」では、得ることができたお金がそのままキャラクターに与えられる経験点になります。なので「D&D」で一番重要なのは「危険を避けてお金を持ち帰ること」になります。「トーキョーN◎VA」では「神業を効果的に(≒格好よく)使う」と(キャラクターではなく)プレイヤーが経験点を獲得できます。なので「トーキョーN◎VA」では「格好よく振舞うこと」が生死よりも重要になります。「ソードワールド」ではシナリオの目的を達成できたら冒険者レベル×500点、できなかったら冒険者レベル×250点の経験点がキャラクターに与えられます。なので「ソードワールド」ではシナリオの目的達成と生死が勝敗に直結しています。
 このように、ゲームによって経験点の獲得の仕方は異なります。何点獲得できれば「勝利」なのか、という基準は「最大値にどれだけ近いか」によります。F.E.A.R.に多い、判断基準が複数あるゲームでは「どれだけ多くの種類の項目で経験点を得ることができたか」によるというわけです。具体的には「最大値-1点(会場提供などによるもの)」であれば勝利というところでしょうか。

 TRPGを含むゲームは「遊び」なので、「楽しめれば勝ち」という考え方もあります。であれば、みんなが楽しむために貢献した人が勝者にふさわしい、ということになると思います。自分ひとりが勝手に楽しんだだけではただの独りよがりです。みんなが楽しむために行動できたかどうかが重要です。最近の(特にF.E.A.R.)のゲームでは貢献の指針が経験点の獲得に直結しているので分かりやすいでしょう。例えば「他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行なった」、「セッションの進行を助けた」などです。
 あるいはゲーム終了後にディスカッションをしてみるのもいいことだと思います。今日のここが良かった、ここが悪かったなどを話し合うのです。もしここで誰かに迷惑をかけたり、シナリオの進行の邪魔をしたりしていたようであれば素直に反省しましょう。反省は次の成功へのステップです。
 「みんなが楽しむ」「みんなが勝つ」ことを考えながら遊べば、いい結果が待っていると思います。

TRPGは参加者全員が「勝利」できるゲームです。


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