TRPGが好きっ!.com > アナログゲーム > プレイレポート > プレイレポート・2013年

プレイレポート・2013年

2013年10月26日(土)

トーキョーN◎VA THE AXLERATION
10年ぶりの第5版となる、サイバーアクションRPG。5版?って首を傾げた後で、「Revolution Revised」は4版ではなく3.5版だったのか、と認識しました。
「サイバーパンク」ではなく「サイバーアクション」なのは、「パンク」と呼べるほど絶望的な世界ではなく、「アクション映画」を意識したルールになっているから、だと思います。そのせいなのかは分かりませんけど、ニューロ(ハッカー)やクロマク(フィクサー?)みたいな、物理的に危険な場所にはめったに行かないはずのキャストが、クライマックスで生身で登場するお約束…は相変わらずです。
F.E.A.R.社の主流になっているゲームの2つの原点のうちの1つで、1アクト(セッション)中に3回、神業と呼ばれる「運命を変える絶対的な力」を使うことができることが特徴です。とは言いつつ敵も使ってくるので、「絶対的」という看板には、偽りありまくりですけど。効果は他のゲームより強いんですけどね。
3つのスタイル(生き様)を決めて、表向きのスタイル(◎ペルソナ)と、内に秘めた本質のスタイル(●キー、ペルソナと同じでもいい)、どちらでもない秘めた一面のスタイル(シャドウ)を使い分けて、キャスト(プレイヤーキャラクター)の身の回りから…もしかすると世界すらをも、揺るがすかも知れない事件を解決していくゲームです。
スタイルの重複は、スタイル特技の内でも強力な「秘技」「奥義」の習得可能個数に影響しますけど…キャンペーンに参加するのでなければ、あまり考えなくてもいいと思います。
今回はシリーズ初となるサンプルキャストがあったり、ライフパスで《社会》や《コネ》が増えて「情報収集で役立たずにならないための安全弁」があったり、ほとんどの一般技能を1レベルで自動習得していたり、と遊びやすくなる工夫がものすごく増えています。特に、サンプルキャストは防御系・神業再利用系の神業が多めだったり、スタイル技能に手札操作系があるキャストが複数いたり、とプレイヤーの不運による事故の防止に重点が置かれています。
ただ…ルールブックに掲載されているトループの攻撃力が意外と高くて、戦闘系キャストでも死ぬことがあるのでお気をつけて。敵ゲストはもっと怖いです。武器と比べて防具が弱めに設定されているので、すごく死にやすくなっています。戦闘は、通常行動で高ダメージを出して防御系神業を使わせてから、即死等を与える神業を使うのがベターかも知れません。手札次第ですけど。
戦闘はこれまでの「アクションランクと同じ枚数のトランプを場に置いて、アクションにもリアクションにも場札を使う」ルールから、コンバットスピード(略称CS。他のゲームのイニシアティブと同じ)順に1人1回行動し、リアクションは何度でもできるルールに変わりました。しかも、攻撃や防御に使うアクション技能は2つ以上同時に使えなくなったので、回避しつつ攻撃、なんてこともできなくなりました。達成値が制御値に届かないと攻撃が成功しないルールはそのまま(リアクションは義務ではありません)ですけど、他のTRPGにかなり近づいた感じです。
これまで処理が重くなりがちだったルールを、最低限のN◎VAらしさを残しつつ軽量化して、文字通り「加速」化した新版だと言えそうです。
最後に注意事項!判定の時の「カードの数字」は、用語集のP.20に載っています。判定のルールのページには載っていないので気をつけてください。

一覧へ戻る

2013年10月13日(日)

バルナ・クロニカ
屍闇から現れる魔物、屍闇の穢れから生じる不屍、人間社会で屍闇の王に密かに従う屍闇の使徒。屍闇に立ち向かう英雄候補として選ばれた者たちの、叙事詩を描くTRPGです。
しかし、強い者が選ばれるわけではなく。勇気を出せなかったり、たまに希望を失ったり、賢明さを見失って愚行を犯してしまったり、を忘れて自己保身に走ったりする、普通の人々が選ばれます。彼ら、彼女らが苦難に立ち向かうことで4つの心魂を育てていき、試練を乗り越えることで戦士や魔導師などと呼ばれる存在になり、やがては吟遊詩人の叙事詩に歌われる英雄となるのです。
屍闇の王は初めて光の聖霊の力を受けた元英雄で、自分の妻を蘇らせたいという誘惑に負けて、闇の精霊の力が充満する屍闇の門を開けてしまった者。数百年に一度現界(人々が住む世界)に現れて、妻の転生体を探すはずが…光の聖霊への怒りにまかせて世界を破滅させようとします。
その最初の戦いで、元英雄を倒すことに対して、あまりの恐ろしさに戦いから逃げた者たちは「勇気」を失って笛小人族(ココペリ)に、戦って平和を取り戻すという希望を持てずに諦めた者たちは「希望」を失って長命族(エルフィン)に、勇敢に立ち向かったが大きな損失をもたらした者たちは「賢明」さを失って戦人族(ドヴォルグ)に、逆に有利さのみを追求して人命を軽視した者たちは「愛」を失って鬼面族(オウガ・アザレラ)に、何も失わなかったために4種族からの信用を失った人間族(ザハール)に、分かれていきました。
人間族と鬼面族は屍闇の王と戦うために帝国を作り、他の種族はその他の場所へと移り住みました。屍闇の王との最後の戦いに全勢力を送り込んだ人間族は鬼面族に帝国を乗っ取られてしまい、各地を放浪したあげく、屍闇の王との戦場跡に開拓村を作り上げている状態です。長命族と戦人族の間を除いて、各種族の仲は総じて悪くなっています。
といったハイファンタジー的な世界で遊ぶTRPGです。
判定方法は3種類あります。
1つ目は、行為判定。5つある能力値(体力、機敏、感覚、知性、魅力。一度決めると一生変化しません)と技能レベルの合計と同じ数のD6を振って、出た目ごとに個数を数えて、最大個数になった目の個数を成功値、成功値2以上になった出目の種類数をセットと呼びます。戦闘以外や回避では成功値しか使いませんが、攻撃や受けではセット数が攻撃(受けが)できた回数(武器の攻撃数が最大値)になり、出目によって命中(受けを)する部位が変わります(部位別にHPがあります)。数人で判定をして全員の出目で成功値を求める協力判定や、出目を1種類指定して成功数を2倍にして他の出目は全部無視するクリティカルコールがあります。
2つ目は、心魂判定。トランプを1枚引いて、上述の4つの心魂値以下のカードを出すか、割り当てられたスートが出れば成功します。失敗すると戦闘が恐くて逃げたり、どうせ死ぬんだと諦めたり、正面から無謀な戦いを挑んだり、勝つために味方を犠牲にしようとしたり、します。
3つ目は、発動判定。魔法を使うときのみですが、トランプを1枚引いて、魔法ごとに決められたスートや色と合っており、しかもMPと同値以上の数字が出ると発動します。ただし、効果が出たかどうかは、その後の行為判定によって決まります。
他にルール面では、真力というダイスの振り直しやトランプの引き直しができるポイントがあるとか、武器や防具はダメージを受けすぎると壊れるとか、部位別HPが0になると四肢が使えなくなったり、次ラウンドの終了時に死んだりとか、クセのあるルールが存在します。逆に言うと、敵の弱点を調べられればその部位をクリティカルコールすれば倒しやすいとか、次ラウンドで傷を治せば復活できるとか、戦闘中に機転が利くと楽しいことが色々できます。
もらえる経験点は2種類あって、「運命」はほぼ同値になるものの、「叙事詩」は投票制になっていて、5種類の項目に対してMVPは2点、1票以上あれば1点と、競争の要素や役割分担の要素が含まれているのは面白いと感じました。
戦闘データをがっちり組んで遊ぶゲームではなく、その場で考えることが多くて乱数要素が高いゲームなので、好き嫌いは分かれるとは思います。ただ、十数年以上前から遊んでいる人であれば、懐かしさがこみ上げてくる良作だと感じます。

一覧へ戻る

2013年4月28日(日)

メタリックガーディアンRPG
SRS公式初の、ロボットものTRPG(ロボットを扱えるクラスがあるゲームは存在していましたが)。特殊な才能の持ち主であるリンケージ(クエスターのようなもの)が、適性の合う発掘兵器ガーディアンに乗って、奈落エネルギーを使ったロボットで世界征服を企むラーフ帝国と戦う…いわゆるスパロボ大戦ものです。
ガーディアンはアルティマ合金という特殊な金属で作られていて、今では発掘や加工しかできません。ルナチタニウムから作られたミーレスと呼ばれる、一般人でも乗れる、作成できる汎用機がありますが、性能は遠く及びません。
アルシャードセイヴァーRPG発売後、初のSRSを使用したTRPGでもあり、攻撃力の基本が2D6になっていたり、役割も3種類(近接攻撃:ストライカー、遠隔攻撃:スイーパー、防御・支援:コンダクター)に分かれていたり、します。ただし、セイヴァーとの互換性はあまり無いようです(機体の大きさや射程の概念など、差異が色々あるので)
リンケージクラス(乗り手の能力、上記3種)とガーディアンクラス(機体の能力)の2種類を1つずつ選んで、片方を2レベルにするのが基本。リンケージクラスは2種類にすることもできますが、ガーディアンクラスは1つしか選べません。選んだクラスによって加護が決まりますが、作成時に2レベルにしたクラスがある場合は片方だけ「加護を自由選択」できるようになっていて、3クラス取得する可能性が低いこのゲームではすごく助かりますし、加護のバランスも調整しやすくなります。なお、加護はセイヴァー準拠です。
戦闘ルールが普段のSRSとは違って、スクウェアマップを使います。移動力や武装の射程もマス数で表現されます。射程2以下の武装での攻撃を近接攻撃、射程3以上の武装での攻撃を遠隔攻撃と呼び、普段のSRSなら魔法に関する能力(魔導値、抗魔値)が割り当てられる部分に、遠隔攻撃とその回避に相当する砲撃値と防壁値があるのが大きな特徴です。また、遠隔武装を使うときは(特技がないと)移動出来ません。PCの攻撃力はどちらにも同じ値を適用します。
通常のHP(耐久力)とMP…このゲームではEN(感能力)は存在していますが、その他にFP(力場値)があります。FPは機体の装甲のようなもので事実上のヒットポイント、HPは主に特技の代償として、ENは特技の代償やエネルギー武装(レーザー兵器等)を使う代償として使われます。ブレイクすると弾数以外の代償が不要になりますが、FPやHPを加護以外で回復できず、0になると死ぬのは一緒です。
選んだガーディアンクラスによってHP以外の戦闘値が大きく変化するので、リンケージクラスを決めた際に、ガーディアンクラスもある程度決まると考えていいでしょう。装備した武装にもよりますが、ボスの攻撃でも避ける小型機、耐えしのぐ大型機、近接戦か遠隔戦のどちらかに特化していて隙のある中型機、砲撃値以外全部高めの魔法機(ファンタズム)、ベテランにしか乗りこなせない汎用機(ミーレス)、という感じです。
3レベルでもセイヴァーより数値が派手な上に、加護を乗せた攻撃でも耐え切ることがあります。SRSとしては珍しく長期戦を求められ、回復も重要になり、シミュレーションゲーム的要素もある…歯ごたえのあるゲームだと感じました。

一覧へ戻る

2013年4月27日(土)

モノトーンミュージアムRPG
メルヘンというか…本当は怖い○○童話みたいなTRPGです。
アルシャードセイヴァーより前のSRSとしては最後の作品…のはず。ただし、キャラクター作成時や成長時の特技の取得方法、そして世界の理(ことわり)からどれだけ離れているかを示す剥離値などは、ダブルクロスにも似ています。
この世界の人達は、神から下された御標(みしるべ)に従って生きていく義務があります。どんな御標であっても、必ず「めでたし、めでたし」で終わり、基本的には幸せを得られます。御標に従うためにできる限りの努力をしなかった場合、「歪んだ御標」を与えることが出来る異形と化してしまいます。
この異形化を途中で食い止めることができた者達は御標に縛られない「紡ぎ手」(PCたちは皆紡ぎ手)になり、そうでない者は自分の意のままに御標を歪める「伽藍(がらん)と化します。なお、「歪んだ視標」であっても、従わないと異形になるので、一見不幸に思える御標であっても普通の人は従ってしまいます。歪みを正す(たいていは伽藍を倒すと成功する)ことは、紡ぎ手にしかできません。
なお、「歪んだ御標」が発せられたとき、世界に歪みが生じます。紡ぎ手はこの歪みを引き受けて阻止することができますが、剥離値が上がります。歪みによって世界に「ほつれ」ができてしまうこともあり、ほつれの向こう側に行ってしまうと虚無に飲み込まれてしまうばかりか、放置しておくとほつれが拡がってしまいます。これを縫い直すことも紡ぎ手にしかできないことです。
システム面では…キャラクターの総合レベルが「演者レベル」、コネクションを「パートナー」、出自や境遇、(固有、及びシナリオ中のみの)パートナーなど、パーソナリティデータを「配役」と呼ぶなど、童話を舞台やミュージカルで演じているような独特のネーミングがなされていて、楽しいです。
また、能力値から反射と幸運が消えて社会と縫製が加わるなど、他のSRSとは一線を画している部分も多く…「混ぜるな危険」です。
剥離値は最初、取得したクラスに与えられた数の総計になります。剥離値が高くなると、上がるたびに世界の理からの剥離の影響が異形化の兆候として現れはじめます。バッドステータスや出自や境遇、パートナーの喪失など、様々な悪いことが起こります。伽藍を倒すと、歪みを正したことによって剥離値を減らすことができますが…10点以上残ってしまうと完全に異形化し、伽藍(NPC)になります。
アルシャードのブレイクに相当するものがないため、逸脱能力(加護のような異形の力。何度でも使えるが、使うたびに剥離値が上がる)以外では復帰出来ません。バッドステータスも残ったままです。兆候などによってバッドステータスを複数受けたまま戦うことも多く、戦闘は悲壮感に満ちたものになるでしょう。
運命を自ら切り開き、苦しみながらも物語を紡ぐことに喜びを感じる人にお勧めします。

一覧へ戻る

2013年3月23日(土)

アリアンロッドRPG 2E
冒険も戦争も楽しめるファンタジーRPG、アリアンロッドRPGの第2版。
1レベルで遊んだので、初版との差はあまり分かりませんでしたが、キャラクターの成長が早くなった、と聞いています。レベルアップごとに「3スキル取得」、または「2スキル取得&フェイト上昇」、「2スキル取得&転職」のいずれかを選択することになったため、転職のメリットが減り、じっくり育てることを重視する形になったようです。
冒険の舞台となる世界も大陸が4つになり、冒険者が神殿の後ろ盾を得て職業として認知されているライトファンタジー大陸、7つの竜輝石を巡る人族同士の戦争と魔族の陰謀がうごめくダークファンタジー大陸、南アジアやアフリカのような文化を持ちジャングルに覆われたフロンティア的大陸、設定が一切なくGMとプレイヤーとが自由に作り上げることができる大陸、と多彩なワールドが用意されています。
判定は「2D6+能力値」ですが、スキル(特殊能力)などによりダイスや修正が増えることもあります。いえ、貪欲にダイス数や修正を増やさなければ、まともに遊べないゲームバランスになっています。同時にダメージ(役割によっては防御力や回復力)増強も行う必要があり、戦闘はかなりシビアです。
クラスによって取得できるスキルは戦闘用が9割以上で(セージ、バードなど、若干例外あり)、情報収集や探索・知識系のスキルは一般スキルとしてまとめられており、レベルアップとは別に経験点を使う必要があります。サプリメントで魔法による探索系行動も出来るようになりましたが、MP消費が攻撃魔法と同じくらい高く、お勧めできません。
ゲッシュという、誓いを立ててそれを守ることにより、特殊なスキルを得るルールもあります。パーティ内での役割が完全に確立してからであれば、お勧めできますが、メンバーに変動があって役割が変わると邪魔になるので慎重に。
敵データは、実は初版と全く同じ欠点なのですが、命中やダメージの増強が全部スキルで表現されるため、プレイヤーがエネミースキルを熟知していないと強さを把握できません。PCのデータは自分で見たり見せてもらったりできますが、敵のデータを直接見てはならないので、実は自分のスキルより敵のスキルのほうが重要度が高いと感じます。
MMORPGの雰囲気を持つTRPGですので、戦闘データ…特に最大出力と継戦能力を最重視して遊びましょう。特にMP消費量が大きいメイジ系の場合、MP節約のためにメジャーアクションでエネミー識別することも重要な選択肢になりえます。

一覧へ戻る

[最終更新日 2015.7.15]