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プレイレポート・2011年

2011年10月23日(日)

ファイヤード!
様々な種類の「地獄」からの生還者が「異界」の住人に立ち向かう、クロスワールドRPGです。
公式には「現代異能バトルRPG」とありますけど、このゲームの「異能」や「バトル」は、普通に想像できる異能やバトルより、ものすごく幅広い概念です。
具体的に言うと、異能の数値的な効果は固定だけど描写は完全に自由になります。そして「ダメージを与える」のような使い方が限定的な異能は存在せず、異能そのものも汎用的になっているので、多様な描写が可能です。例えば、「素早い動き」による攻撃をするとか、「瞬間転移」で頭上に重い物を出現させるとか、「時間を止めて」いる間に猛攻撃をするとか、が可能です。
バトルについては、敵のHPを0にするというルールはあるものの、このHPが何を意味するかはシナリオごとに異なります。普通に「肉体的な耐久力」であったり、「かくれんぼでどれだけ上手に隠れるか」であったり、「料理に対する舌の肥え具合」であったり、「コンピューターのセキュリティの強固さ」であったり、「野球のピッチャーのスタミナ」であったりします。
「バトル」が終わった後に、「事態収拾判定」という最後の判定をする必要があるのも特徴です。ここで失敗すると「予想だにしないとんでもないエンディング」になったりするので要注意。おうちに帰るまでが遠足です。

このイメージの幅広さは、PCの能力が個別データではなく、それぞれ14種類ずつあるストーリーパート用とクライマックス用のチャートで決まることと、4つのフリーワードでイメージが決まるという柔軟さで表現されています。
フリーワードの効果は、1シナリオに1回成果値を100点(100点刻みなので実質的には「+1」相当)上昇させるだけ、という単純明快なものです。例えば「神の化身」の力も「学級委員長」の力も、「魔王のオーラ」も「有名女子校の制服」も、同等のパワーを発揮します。ただし、クライマックス以外では成果値の上限は決まっているので、この100点が明暗を分けることはしばしばあります。
この大ざっぱさは、正に「何でもできる」ゲームと呼ぶにふさわしいものなのではないか、と感じます。シナリオさえ思いつけば「ゆうやけこやけ」から「サイバーパンク2.0.2.0.」まで、やってやれないことはない、です。
キャラクターのデータをきっちり組み上げる人にとっては苦手に感じるかも知れない、感性系のゲームです。わたしは一度で気に入りました。

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2011年4月24日(日)

東京鬼祓師 鴉乃杜學園綺譚TRPG
ATLASの同名のコンピュータRPGがTRPG化したものです。原作を知らないので、どれだけ準拠しているのかは不明ですけど、分かる範囲内で。
消耗をあまり気にせずに戦闘できるタイプのゲームです。戦闘をたくさんやってもストレスをあまり感じないのは楽しいです。
最近のTRPGでは「HP」「MP」「ボム(一発逆転を可能にするポイントや特殊スキル)」があるものが多いんですけど、このゲームにはMPが無くて、毎ラウンド回復する「AP(行動ポイント)」を消費して行動します。
戦闘を楽しめる、と書きましたけど、実際に事件を解決するには情報収集が重要なゲームでもあります。それは「戦闘中『応援』しかできない情報収集特化キャラが1人いてもありがたいと感じる」くらいには重要です。
大きな特徴としては、7種類の学科値を判定に使うことでしょうか。「国語が得意なら応援が得意」「外国語が得意なら情報収集が得意」など、一風変わったルールになっています。そして威力(ダメージや回復量など)を決めるときに5種類の能力値を使います。
加えて、ダメージの回避方法、適用方法が風変わりです。PCたちは「回避威力以下のダメージは無効化」して、超えたらダメージの数字をそのままHPに適用します。隠人(オニ、敵の総称)たちは「軽傷、重傷」になるダメージ量が決まっていて、ダメージが軽傷値以上なら軽傷(2回で重傷)、重傷値以上なら重傷=退場となります。ボスは重傷を4~5回受けるまで行動できます。
最初は理解しづらい印象でしたけど、やってみるとHPなどの管理がすごく楽なことにも気づきました。敵をたくさん出してもGMの管理が楽、というのはいいことですし。雑魚敵を一撃で倒す爽快感もあります。
感情に関するルールもしっかりあって、相手にいい印象を与えていても悪い印象を与えていても恩恵を受けることが出来ます。これもHPと同様、TRPG向けに遊びやすくアレンジして導入している印象があります。単発セッションでもしっかり恩恵を受けられるのも好印象を受けました。
ここまで、いい点です。悪い点だと感じたのは1つだけ。ルールブックの記述順序が非常に分かりにくく、遊ぶときに困るということです。これは「サンプルキャラクターを使って遊ぶときに基本編だけでは必要なデータが足りない(上級編も必要になる)」レベルで、致命的だと感じます。
本が読みにくいだけで、ルールはとても面白いので、何度も繰り返して遊ぶなら楽しめると思います。あるいは独自のレジュメを作るとか。

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[最終更新日 2015.7.15]