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プレイレポート・2014年

2014年11月22日(土)

グランクレストRPG
叙事詩的なファンタジー世界から混沌を追放すべく、領主や側近などになって戦うファンタジーTRPGです。混沌の力によって地球などの様々な異世界(過去や未来からも来ているかも)からの来訪者が存在しているので、純粋なファンタジーとは呼べない感じです。混沌の力が強いと「どんなに不可思議なことでも起こりうる」のだそうで、これによって悪意ある存在を呼び寄せてしまいます。
かつて機械文明があったようですが、混沌の力によって動かなくなってしまったために滅び、魔法文明の時代になったようです。そのためこの世界が未来の地球ではないか、という説もあるみたいです。このあたりはちょっとSF的で面白いです。
公式サイトでコアルールが無料配布されているため、1レベルのサンプルキャラクターであれば無料で遊べます。キャラメイクや成長のために必要なデータはないので、本を買う必要がありますけど…サービス精神旺盛ですよね。
ルールとしては、(技能レベル)D6+(能力値)で達成値を求めて高いほうが勝つ、という単純なもの。ただ、クリティカルが達成値+10と控えめで、ファンブルがないルールなので、強大な敵に偶然勝つことはありません。最近のゲームとしては珍しいです。
運命を変えるほど強大な力を発揮する「天命」というリソースがあって、ゲーム中に誓いを立てることで獲得できます。ここをしっかり演技すると映画の1シーンみたいに格好良くなるのですが…処理がシーンとシーンの幕間なので微妙に盛り上がりません(リソース管理の都合上、仕方ないとは思うのですが)
PCたちは混沌に対処するべく領主となったロード、ロードを補佐するために派遣されるメイジ、身に帯びた混沌の力を使って混沌と戦うアーティストに分かれます(サプリメントで別世界の存在である投影体が加わりました)。全般的に攻撃能力があるキャラクターが多く、特にアーティストは物理攻撃キャラばかりです。
クライマックスの戦闘は、戦記モノの主人公らしい軍団戦になります。とはいえ、軍隊のデータはPCのデータを修正する程度のもので、手軽に遊べるようになっています。
国を運営するルールがキャラクターを育てるルールと同じくらい充実していて、長期キャンペーンに向くゲームになっていると感じました。シミュレーションRPGや戦記ファンタジーが好きな人なら確実に楽しめるゲームだと思います。

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2014年9月7日(日)

神我狩
現代伝奇モノを遊ぶTRPGです。世界観的にはデモンパラサイトシリーズの「鬼御霊」に近く、システム的には「セイクリッド・ドラグーン」の龍脈が流用されている、力造氏のこれまでの集大成という雰囲気のゲームです。
世界観はライトノベル系の「現代ファンタジー」より若干重め。邪神(アラミタマ)と戦う超人(カミガカリ)であるPCたちは社会的地位も高く、戦う以外の責任も重い立場になるあたりは若干リアル寄りだと思います。
基本的な判定は「2D6+能力値」と単純ですが、事前に「霊紋」を使ってダイス数を増やすことができたり、事前に溜めておける4つのダイス(=霊力)と入れ替えることができたりするので、それなりにコントロールが可能です。潜在能力やタレント(魔法とか特技とかに相当)を使うときは、霊力の中からダイスをいくつか使うので、判定にわざと失敗することも必要になります(トーキョーN◎VAなどの手札運用と似た感覚ですね)
霊紋はシナリオ途中で回復する機会がいくつかあるので、情報収集などに使ってしまっても大丈夫です。というか、デモンパラサイトやパラサイトブラッドの衝動と同じで、出し渋ると却って損をします。ただし、使いすぎると0やマイナスになり、シナリオ終了時に0以下だとNPCになってしまうので、さじ加減は結構悩ましいです。
また、「感情」をPCやNPCに対して結ぶことで霊紋の使い方を増やすことができるのですが…7つ集めないとダメージを増やす効果を使えないので、戦闘にとても時間がかかってしまいます。一度コストが重くて効果の強いタレントを使ってしまうと、その後霊力にダイスを揃えるまではタレントを使えないこともあってか、ボス戦には二重に(プレイヤーおよびゲーム内の)時間がかかるという印象もあります。ちなみにPCたちもボスの一撃で倒れることはないので、戦闘に時間がかかっても勝てないゲームではないんですけど。
面白いのは敵ボスを倒すと得られる「奇魂(クシミタマ)」の効果。霊紋の回復量を2倍にする(おそらくオーソドックスな)使い方の他に、「小さな奇跡を起こす」、「所持金を増やす」という使い方があります。最近の国産ゲーム(特に舞台が現代の場合)では経験点を所持金やアイテムに変換する作品が多いのですが、このゲームでは普通にお金を払ってアイテムを買います。当たり前のことのはずなのに、不思議な気持ちになってしまいました。
F.E.A.R.系のゲームとSNE系のゲームが入り混じった感じのゲームなので、どちらかに慣れている人もそれなりに遊びやすいと思います。また、キャラクターメイキングに王道(こうすれば絶対強い、こうしなければ役に立たない)があるわけではなく、ゲーム中の運用次第で活躍のチャンスが得られるゲームなので、データよりはイメージ優先で遊んでも十分楽しめるでしょう。

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2014年8月23日(土)

ナイトウィザード3rd
現代ファンタジーの名作ナイトウィザードの第3版です。2ndのラストシナリオで冥魔に勝利したファー・ジ・アース(地球)で、人間世界を守るために戦う魔法使い=ウィザード(主人公たち)と、地球にある強大なエネルギー=プラーナを奪うために裏界からきた侵魔(エミュレイター)との戦いが再開した、地球とはほんのちょっと違う世界。魔法や魔物の存在を知られて大混乱になることを防ぐため、闇に隠れて戦うウィザードになってエミュレイターと戦うゲームです。今回の最大の敵は、魔法を隠匿するために世界結界を作り上げた際に追い出された、4体のエミュレーター。
ルールは2ndと比べて簡略化されていて、能力値は6つに減り、物理攻撃も魔法攻撃も「回避」で避けるようになりました。行動回数は1ラウンドに1回に変更され、分かりやすくなっています。物理や魔法の攻撃力と防御力はクラスによる修正とアイテムのみで決めることなど、様々なところがSRSに少し近くなったという印象です。
クラスを2種類、属性を2種類選ぶと能力値が決まり、戦闘能力値は能力値とクラス2つの修正値から決まります。今回はアタッカー、ディフェンダーなどのメインクラスは無いので、活躍できるキャラクターを作るためには各クラスが何を得意とするのかを把握しておく必要があります。ここは無印(第1版)に戻ってきたと言えそうです。なお、回復や情報収集など、魔法装備以外の魔法は一般特技になっています。特技の中に攻撃魔法は存在せず、魔法装備を強化して攻撃する特技のみになっています。
それと、防御力の上昇があまり無く(初期キャラで10以上になることはほとんどない)、攻撃力と最大HPは増えやすくなっています(攻撃役なら初期キャラで20以上になることが多い)。特技のMP消費量が高くて最大MPの上昇も高いので、HPやMPをガリガリ削りながら派手に遊ぶ感じになりました。低レベルのうちは低すぎで大苦戦しますけど。2ndでよく見かけた「ダメージは0じゃ」は、今回はほとんど無理でしょう。
プラーナの値は減って(通常5点)、1点あたりの効果が強化されました。2点消費すると戦闘不能から復活できるなど、こちらも使いやすく簡略化した感じです。1stの頃はHPやMPに並ぶただのリソースだったのが、今や貴重なブレイクスルー(一発逆転をもたらすルール)になりました。
クラスの種類も変化があって(基本ルールのみの比較)、侵魔召喚師(侵魔と敵対状態に戻ったので当然)、使徒、魔物使いが無くなって、アイドル(歌で戦う魔法使い~魔法戦士系)、属性使い(1種類の魔法能力を極める感じ)、電脳使い(情報収集や支援と電撃)、魔鎧使い(旧版のディフェンダー)、魔銃使い(補足は要りませんよね)が追加されています。
簡略化、一元化(F.E.A.R.社の他作品との統一)、1stへの(一部)原点回帰が今回のテーマなのではないかと感じます。世界観が薄味でNPCたちが濃いのは相変わらずなので、NPCの性格や口調などにこだわりのある経験者と一緒でなければ、未経験者が遊ぶのにも向いていると感じます。

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2014年4月27日(日)

艦これRPG
人気ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」のTRPGです。プレイヤーたちは鎮守府にある艦隊の一員として、提督(ゲームマスター)の下で戦う艦娘(かんむす)になって、深海棲艦と戦います。キャラクターは全部プレロールド(データと名前が既に作成済み)になります。
基本システムはサイコロ・フィクションを使っていますが、他のPCへの感情や、行動力など、何種類かのブレイクスルーを使うことができる、かなり派手なゲームになっています。
(余談)サイコロ・フィクションシリーズは、新作が出るたびにシステムの新たな可能性を提示してくれている気がします。
サイコロ・フィクション恒例の横6(1~6)×縦11(2~12)の個性リストですが、他作では6個ある個性が、3~5個しかもらえません。行動力を消費すると新たな個性を「発見」できるので、必要に応じてその都度獲得することになります(最大6個)。そしてこの個性には弱点(×で表現される)があって、使うと判定の前にアクシデントが発生します。ペナルティは大きいものの、このドタバタ感はとても楽しいです。
なお、重量の機体ほど個性の数、火力(ダメージ)、装甲力(耐久性)、装備力(装備アビリティ数の上限)が有利に、軽量の機体ほど命中力、回避力、行動力、資材相性(損傷や行動力の回復させやすさ)、成長しやすさ(経験値の量)が有利になるようです。とはいえ、空母や潜水艦などの特殊な艦種は不利になったり、艦種が同じでも機体差があったりします。
アビリティ(戦闘能力や特殊能力)は「装備」と「戦術・固有」の2種類あって、ぱっと見では分かりにくいと感じました。装備は「開発」でセッション中にランダムで増やすことができ、「戦術」はレベルアップで増やすことができます(「戦術」が増えずに「○○力」が増えることもあります)
他のサイコロ・フィクションと同じで、決戦の前の行動が重要になります。自己強化(○○力の一時的上昇や装備開発)、損傷や行動力の回復、強化や回復のために使う資材獲得、感情値を高めるなど、色んなことができます。
しかし自分がしたいことを出来るわけではなく、したいことを全員が用紙に書いて、ランダムに用紙を引いて書かれている行動をすることになります。行動ごとに判定に使う個性が違うのですが、プレイヤーの機転で変更できる上に、「発見」ができたり、行動力を消費して振り直しもできたりするので、かなり成功しやすいと感じます。そして日常や交流を楽しむことにルール的な意味があるのは、演技重視派と役割・戦闘重視派の共存につながる良い要素だとわたしは思っています。
何らかの感情を抱いている相手(感情値が1以上のPCやNPC)「声援」を使うと「達成値か火力を+感情値」することができるので、感情値を高めるための「交流」が重要です。ただ、一度声援を使うと感情値が上がるまでは使えなくなるので、使い所はかなり考える必要があります。
ダメージは(火力)D6点になるので、数値が小さいように見えて実は派手になります(装甲騎兵ボトムズTRPGと同じ…って古いですけど)
艦これそのものを知らなくても、リアクション表にセリフが6つ載っているので、個性と組み合わせつつ話せばどうにかなります。回数を重ねると順当に強くなって遊び要素が減ってくるので、単発~数回のセッション向きだと感じます。

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2014年3月16日(日)

超次元カードバトルRPG カードランカー
科学や資源の代わりにカードが使われ、発展した世界で大流行している、トレーディングカードゲーム「ソウルカード」のプレイヤー(カードランカー)、その中でも希少なレジェンドカードの使い手として、「ダークランカー」と戦うTRPGです。
と言うものの…カードは一切使わず6面体ダイスだけで遊ぶ、サイコロ・フィクションシリーズの1つです。コンテストの第一回大賞受賞作品で、これまでのサイコロ・フィクションよりはかなりヒロイックで派手なゲームだと思います。戦闘バランスはこれまで通りデッドリーですけど、カードバトルそのものでは死者は出ません。とはいえ、勝敗がかなりの決定権を持ち、「神様だって逆らえない」そうです。
なんか別の意味で怖い。
サイコロ・フィクションではお馴染みの横6(1D6に対応)×縦11(2D6に対応)の特技リストには、どんなカードを操るのが得意なのかを決める表が書かれています(6つ選びます)。カードバトル以外の行動でも特技を使うので…カードに行動させるなどして調査とかをしているイメージでしょうか。また、カードを新たに拾うこともあるので、引きが強いと大きくパワーアップすることもあります(カードゲームらしくて楽しい)
モンスターカード(戦闘中に使うカード)を実力に見合う枚数だけ持つことができ、これが「主に戦闘中にできること」になります。特技の数と同じ66枚のカードがあるので、キャラクター作成時の選択肢はかなり広くなります。カードのコンボを考えたり、プレイヤー同士で連携コンボを考えたりすると、それだけで何時間もかかるので、ほどほどにしましょう。
他のサイコロ・フィクションと同じで、構築フェイズ(調査や下準備をするフェイズ)での調査行動がかなり重要になります。シナリオボス(ダークランカー)の情報を集めきって敵の「欲望」を開放しなければ、強化された状態のボスと戦うことになるので、おそらくほとんど勝てません。ただ、調査の達成値は判定に成功するごとに-1され続け、成功しにくくなります。
そんなときに役立つのが「絆」です。カードバトルを続ける理由を語ったり、今回の目的を語ったり、手番を費やして関係を構築したりすると、相手に絆を結ばせて自分を助けることができるようになります。絆を1つ使うと相手の達成値を+1D6すること(他に2通りの使い方あり)ができるので、これで調査を強引に成功させたり、戦闘で活躍させたりできます。この「絆」がゲーム全体を派手にしている要因かな、って思います。
キャラクター作成やルール説明、コンボの相談など、事前にキャラクター作成がじっくり出来るなら、かなりお勧めできる楽しいゲームです(コンベンションなど、単発で遊ぶのは難しいかも知れません)。TCG自体を知らなくても多分大丈夫。

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[最終更新日 2015.7.15]