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プレイレポート・2015年

2015年12月20日(日)

神話創世RPG アマデウス
世界中の様々な神話に登場する神の力を引き継ぐアマデウス(神の子)になって、神話災害(神話を源とした事件)を鎮圧するゲームです。
2015年12月に発売された現代異能物TRPGで、同年9月には無料で遊べる体験版が先行公開されています。ただし、体験版と製品版ではルールの細部がけっこう違います。
判定方法は一風変わっています。能力値に応じて1~4個の6面体ダイスを振り、うち1つを達成値として採用し、ダイスを2個以上振ったのであれば残りのうちの1つを特殊能力の発動条件などに使うインガとして採用するようになっています。達成値用ダイスの目が6ならスペシャル(自動成功)、1ならファンブルなので、自動成功が出やすく、出なかった場合は修正値1点の差がかなり大きいゲームになります。
このゲームにはハンドアウトに相当する「予言」というものがあり、GMが設定した条件を満たすと公開され、シナリオやキャラクターの行動に影響を与えます。もし「PCたちが不利になる予言」も設定できるのであれば、面白そうだと感じました。
PCはギリシャ神話、日本神話、エジプト神話、クトゥルフ神話の中の計30種類の神様のうち、1柱を選びます。これに5種類の背景から1つを選んで、能力値への修正やギフト(特殊能力)を選ぶとキャラクター作成が完了します。選択肢が多いので、作成には時間がかかると思います。
このゲームはキャラクター間の能力面での相性が戦闘に与える影響が大きく、また自分1人でコンボを組むことがほぼ不可能なので、キャラクター作成時にプレイヤー同士で相談しあうと活躍できる組み合わせを作れると思います。相談しあう時間の少ない単発セッションには不向き、とも言えるかもしれません。
戦闘は、ボス本体と攻撃手段たる何種類かの脅威(武器や手下など)に対して行うことになります。脅威を攻撃して一撃で耐久力以上のダメージを出すことができれば、ラウンド終了まで行動不能になる上に、本体に脅威の耐久力と同点のダメージを与えることができます。戦闘は基本的に2ラウンド、追加の機会を得ても3ラウンドしかないので、攻撃を命中させる能力と高ダメージを出す能力がとても重要です。ダメージが大きすぎる場合は、脅威より本体を狙うほうがいいでしょう。
サプリメントで対応する神話の種類が増える予定とのことですが、神話ごとに6種類とか12種類とかでは使えない神様も多いので、自作のルールも欲しいと思ってしまいます。また、予言や脅威など、GMが準備すべきものが多く、シナリオを作りにくいのではないかと感じたので、今後のサポートに期待しています。
全体的にバランスがタイトなゲームなので、数値などのゲーム的な要素を好む人にはとても楽しめるゲームだと思います。

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2015年11月1日(日)

バディアクションRPG ガーデンオーダー
第2次世界大戦末期に現れた、ネフィリムと呼ばれる人類の敵に対抗すべく国連が結成した組織「ガーデン」に所属する特殊能力者「オーダー」となって、ネフィリムと戦うゲームです。
2015年9月に発売された現代異能物TRPGで、PC同士が2人1組になって助け合う「バディスタイル」が大きな特徴です。バディを持たないPC向けにソロスタイルも用意されていますが、PC番号の大きな脇役向けのスタイルになります。
判定はD100を振って成功率以下が出れば成功、C値以下が出ればクリティカル、という単純なもの。誰かと競い合う場合は成功同士なら出目が小さいほうが勝ちです(例えば回避技能で攻撃を避けるとき、相手の出目と同値以下でなければ成功しません)。これも単純。
また、「判定に失敗した時にシナリオが詰まないようにすること」とルール中で明言されており、技能の説明では判定に失敗した時でも最低限の成功が保証されています。達成値を求めるゲームとは違い、判定の成功と失敗が誰の目にも明らかになるゲームならでは、だと感じます。
PCは10種類の特性能力から1種類を選ぶことになります。特性能力を選べば、バディエフェクトかソロエフェクトのうちどちらかと、その他の全ての効果を使えます。キャラクター作成に時間がかからず遊びやすいと思う反面、前衛後衛などの役割が分かりにくいとも思いました。
ルールを読む限りでは、《発火能力》近接攻撃・範囲攻撃、《精神投影》回避・回復、《風候操作》遠隔攻撃・範囲攻撃、《電磁操作》超遠攻撃・回避、《光波干渉》超遠攻撃・デバフ、《重力操作》近接攻撃・行動値操作、《感覚強化》遠隔攻撃・回避、《氷結能力》近接攻撃・回復、《物質転移》範囲攻撃・武器防具強化、《身体強化》範囲攻撃・近接攻撃・防御強化、が得意分野ですが、最低限の攻撃力は全員が獲得できます。
キャラクター作成では、いくつか成功率を上げるべき技能があります。ダブルクロスのように自己強化や回復が自動成功しないので、〈特性能力〉は必須です。またデバフからの回復を〈抵抗力〉で行うため、これも必須。逆に〈回避〉は出目の勝負になることが多いので、さほど高くなくていいと思います。購入判定やNPCとの会話では〈威圧〉か〈交渉〉が必要になるので、片方だけ上げるのがいいでしょう。技能は1%単位でポイントを割り振るシステムですが、5%・10%単位で割り振らないと時間がかかりすぎてしまいます。
この他に特技というものがあるのですが、キャラクターに多様性を出せるものの、キャラクター作成に時間がかかる要因にもなっており、システムの単純明快さを損なう要素だと感じます。
とはいえ一度遊び始めると、さくさくと気持ちいい早さで進行するゲームです。
このゲームのダメージは、ダメージチャートの結果に合わせてゲージを埋めたりデバフを受けたりする形式になっています。敵がどれだけ強くとも一撃で死ぬことが絶対にないためか火力過多な印象はありますが、緊迫した戦闘を楽しむことができると思います。
後ろ盾となる組織がしっかりしており、ネフィリムの存在も認知されている世界なので、勧善懲悪的な現代異能バトルを楽しめると思います。

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2015年10月18日(日)

駆け出しアイドルRPG ビギニングアイドル
芸能人からスクールアイドルまで、様々な種類のアイドルになってファンを増やし、トラブルを解決していくゲームです。
ファンを増やすことでどんなトラブルでも解決できる世界観(ファンが1000人増えたら弟の手術が成功する、など)なので、ロールプレイなどで工夫しないと、ファン数を増やすだけの作業ゲーと化すような気もします。
シナリオをクリアできなくても死ぬ世界ではないからか、失敗率は高めだと思います。ただし失敗回数がチャンスの値を超えると引退に追い込まれるので、油断はできません。
サイコロフィクション特有の6×11の特技リストからは、6つの縦軸から特技を各々1つずつ選ぶことになります。左右の関連はほとんどありません(身長が低い人はエスニックが成功しやすいとか、ばかは演技力が成功しやすいとか)。ただし「個性特技」を1つ決めることができ、メンタル(HP兼MPのようなもの)を消費すれば、どんな判定でも強引に個性特技で判定できます。
このほか、アイドルクラスと能力値を決める必要があります。「マジメ」は個性特技の判定が成功しやすいが周りの手助けを得られず、メンタルが低いタイプ。「コメディ」はギャップが多く埋まるため、通常の判定が成功しやすい多彩なタイプ。「ほのぼの」は能力値が低くてメンタルが高く、クライマックスのプレッシャーに負けずに輝くタイプ。この3つのクラスから1つ選びます。
能力値はも3種類あって、ライブでファンを増やすパフォーマンスに影響します。能力値と同じ数のD6を振って出た目(×ランクで決まる係数)がファン数になるのですが、ゾロ目を全て除去するため、ダイスが0個になったらボーナスがあるものの…能力値を上げるだけではさほど得になりません。セッション中に獲得した「思い出」を使って出目を操作する、自分への理解度を使ってもらう、などの工夫が必要になります。ちなみに期待値は…能力値2で7.5人、能力値3で7.57人、能力値4で8.84人、能力値5で8.83人(微減!)、能力値6で9.13人…でした。
ドラマフェイズでは「仕事」をこなしてファン数を増やしたり、オフに遊んだり特訓したりします。「遊ぶ」と思い出を、「特訓」すると能力値やアイドルスキルを増やせます。パフォーマンスにボーナスを与える「理解度」も同時に得られるのですが、極端な個性(点数が大きい特技)の持ち主は、判定に成功しにくい代わりに理解度が上がりやすくなるようです。
ライブフェイズでは後半にメンタルを大量消費します。なのでマジメを前半に、ほのぼのを後半に配置することが多くなります。前半と後半の間にプロデューサーからファンパワーによる支援が入るので、工夫次第ではセオリーを破ることもできるんでしょうけど。
アイドルもののアニメやゲームは種類も増えていて、狭いはずなのに人によってイメージがかなり違うジャンルだと思います。事前にGM・PL間でしっかり話し合って歩み寄りあえば、きっと楽しめることでしょう。

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2015年9月26日(土)

エイジ・オブ・ギャラクシー
SRSを使ったスペースオペラTRPG。スターレジェンドの後の時代が舞台です。
主人公たちは、超文明「地球」の手がかりとなる碑文字ログを探して宇宙を旅する資格者リテイナーになって、事件を解決していきます。ここは前作と同じです。
キャラクターごとに宇宙船を持っていて、生身の人間が宇宙船の機能を使う能力=艤装があることが、最大の特徴だと思います。搭乗時と歩行時が同じデータになるのはGMもPLも気が楽になりますが、個人的にはなじめない部分があります。友人が「宇宙スペース艦これ」と言っていました。気持ちは分かる。
探検家(近接攻撃・大火力)、航宙士(遠距離攻撃・命中重視・デバフ)、調停者(バフ・交渉・回復)、の3つの基本クラスがあって、これにキャラクターの特色となるクラスを加えてキャラクターを作ります。基本クラスを2種類以上持つことも可能です。特に航宙士を持つ探検家は命中性能が上がって重宝します。
特技の数はSRSとしては少ない方なので、データ管理は比較的やりやすいでしょう。クラスごとに1つずつ星の加護(強力な特殊能力。1人3個持てる)が決まっており、星の加護には太陽系の惑星(彗星や月、冥王星も混じっていますが)の名前がついています。既存のSRSより数が少ないぶん、重複がけっこうあります。
シナリオはかなり自由に作れます。シナリオごとに恒星系を1つ作れるので、文明レベルや生態系などは好き勝手に設定できるでしょう(ファンタジー世界やスチームパンク世界も作れてしまう)。ただし、超光速通信網は崩壊しており、行ってみなければ現地のことは分からないし、PCたち以外に助けを求めることもほとんど不可能です。手探りで冒険する感じになります。
ルールがSRSという統一フォーマットでできているので、他のSRSやF.E.A.R.社のゲームのユーザーにとっては、スペースオペラへの入り口になりうるゲームだと思います。そうでなくとも星の加護の扱い以外はさほど難しくないのでは、ないでしょうか。

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2015年6月14日(日)

でたとこサーガ
ストーリーに合わせて世界観を作る、はちゃめちゃファンタジーTRPG。敵ボスが支配する世界を自分たちの手で作り変える物語を作るゲームです。
キャラクターのクラスは12種類、それぞれ7つのスキルがあって、クラスを2つとスキルを6つ決めればキャラクターが完成します。有利になる組み合わせを考えようとしてもなかなかうまく組み合わないので、イメージ優先でキャラクターを作る方がいいと思います。迷うならサンプルキャラをそのままで。セッション中にレベルを上げたりクラスを変えたりできるので、遊びながらカスタマイズしていくことができます。
ダメージや疲労等を管理するリソースが体力、気力、フラグ、烙印と4種類あるのがちょっと煩雑に思えましたが、ルール自体はシンプルなので遊びにくいというほどではないでしょう。少し例外はありますが、体力は攻撃を受けると減るもの、気力は判定の出目が低すぎたりフラグが高すぎたりすると減るもの、フラグは強力なスキルを使うと増えるもの、烙印は体力や気力が0になったときに増えるもの、です。
PCたちは烙印が6つたまるとバッドエンド(そのキャラクターがセッションから脱落すること)なのですが、例え死んでも、敵の誘惑に負けて世界の半分をもらっても、次のセッションには(それなりの影響を受けるものの)再び使うことができます。
判定のルールは簡単で、スキルのランクに応じて2~6個のD6を振って2個選んだら、出目がそのまま判定値(達成値)になります。目標値は通常時だと8とか10とかになります。戦闘時だと目標値はなくて、判定値がそのままダメージや防御力に直結します。自動成功や自動失敗のルールがない(必要ない)のはちょっと珍しいかも。
今回は初プレイ=初GMだったのですが、サンプルシナリオのボスのデータがレベルと体力しか無くて、スキルのランクが載っていなかったのはちょっと不親切な気がしました。敵NPCのサンプルはボスからモブまでそれなりに揃っているので、シナリオを作るときには困らないと思います。PCのレベルや人数に合わせて出せる敵の数が決まっていて、敵のうちモブの体力は1なので、管理にもさほど困らないでしょう。とはいえ攻撃力は1レベルのPC並なので、数が多いモブはかなり脅威だったりします。
友人とは「クラスやスキルの名前や表現を変えてしまえばファンタジー以外でも遊べるよね」と話していました。懐の深いゲームだと思います。

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2015年1月24日(土)

ログ・ホライズンTRPG
MMORPG世界の中に閉じ込められてしまったプレイヤーが、自分が作った冒険者キャラクターになって冒険するTRPG。ソーシャルゲーム化を果たしたオンライン小説が原作です。
舞台となる世界エルダー・テイルは、実はMMORPGによく似た異世界であり、現実社会を廃墟化してそのまま縮小したような地形の上に広がるファンタジー世界になります。
この世界や、起こる出来事については、原作と同様MMORPGらしいギミックがたくさんあります。
まず、主人公たち冒険者は死なない、ということ。死んだら拠点まで戻って復活します。再戦も可能ですが、目的地に辿り着くまでの間に何か不利なことが起こったり、敵の数が増えたりするので(前回の残り+αになります)、復活するからこその苦しみを味わうこともありそうです。
次に、シナリオを事前に知っている可能性があるということ。MMORPGで経験したイベントと同じ(ような)事件が起きた場合、そのときの情報を持っている状態でゲームを進めることができます。予想が裏切られる可能性もあるとは思いますが、プレイヤーに与えられるメタ情報を直接的に使うという、普通のTRPGではありえない考え方を積極的に行う必要があるわけです。
最後に、敵の行動ロジックがしっかり決まっているということ。可能な限り最も活躍している≒ヘイトが最も高いキャラクターを攻撃する、その際スキルは機会があれば必ず(強い順に)使う、ことが決まっています。しかもヘイトが最大のキャラクターが受けるダメージにはヘイトの1~数倍が加わるので、各キャラクターのヘイトの値を適切に管理する必要があります。
キャラクターメイキングについては、8つの種族と4系統12種の職業から1つずつ選んで、種族・系統・職業・共通の中から規定の数だけスキルを取得すると完成になります。スキルの数はかなり多いので、ルールブックが手元にない場合はサンプルキャラクターをそのまま使ってください。持っていても、遊ぶ当日にキャラクターを作るにはかなり時間がかかると思います。なお、転職はありません。
レベルアップは、能力値やHPなどを増やして規定の数だけスキルを取得またはレベルアップすると完成になります。1日に同じイベントに何度かトライするミニキャンペーンシナリオも組めるのですが、途中のレベルアップに時間がかからないよう工夫が必要だと思います。キャラクターを作る時点で決めたコンセプト通りに成長できればいいのですが、パーティバランスに合わせて調整する場合は厳しいと思います。しかし、一度クリアできなかったシナリオを、レベルを上げて再戦してクリアするのはとても気持ちいいので、一度試してほしいです。
今回、原作を全く知らない状態で遊んでみたのですが、MMOに限らずコンピュータRPGの経験を流用することはできると思います。その上でチーム一丸となった戦術と、それに素直に従う気持ちが必要になります。死を恐れなくてもいいので、(周りに迷惑をかけない程度に)失敗を恐れず挑戦し続けるのも面白いと思います。

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[最終更新日 2015.12.30]